日々のいろんなことをあれこれ。
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『自分だけが…』
マリレニ正月小ネタです。
ベタです。
マリアがちょっとおかしい人になってる気がしないでもない。
1月1日、元旦。
マリアはレニとふたりで初詣に来ていた。
待乳山聖天――以前、さくらと『新宝島』の成功祈願を一緒に詣ったのを思い出す。
…自分の役だけの、だったが。
それと同時に、さくらとふたりだけで、しかも御礼参りと合わせて2度も出かける自分にレニが焼き餅をやいたことを思い出してマリアの頬が緩む。
(あの時のレニは…いじらしくて、すごく可愛かったわ…)
勿論いつだってレニは可愛いのだけれども。
「…マリア?どうしたの?」
「えっ…何、レニ?」
自分の顔を覗き込みながら首を傾げるレニに、マリアはふと我に返った。
「何だか、ニヤけてる」
「…そんなことないわよ?」
「本当?」
「ええ。さぁ、お参りしましょう」
訝しげなレニに誤魔化すように笑って、境内へと足を進ませた。
あの時まだレニはここには詣れなかったが、今年は一緒に行けるからと、思い切って誘ったのだ。
『変わったところだね…でも、すごく興味深い』
聖天さまのことをレニに話すと、彼女はその変わった由縁に興味を持ったようだ。
二つ返事で了承してくれた。
賽銭箱にお賽銭を入れて、ふたりで手を合わせる。
(………)
自分の願い事を終えて隣を見ると、レニは未だに目を閉じて真剣に願い事をしていた。
ややあってレニは目を開き、マリアと目が合うと少し頬を染めて慌てて視線をそらす。
「じ、じゃあ帰ろう」
「? ええ」
「レニは何をお願いしたの?」
帰途につきながら、マリアは何の気なしにレニに聞いてみた。
途端にレニの顔が赤くなる。
「えっ…べ、別に…」
「あ、ごめんなさい。言いたくないのなら言わなくていいの」
動揺するレニに悪いことを聞いてしまったかとマリアは慌てて自分の言葉を撤回した。
そうじゃなくて、と顔を赤くしたまま小さくレニは呟く。
「笑わない?」
「笑ったりしないわ」
「…『自分だけが、マリアに愛してもらえますように』って…」
顔を真っ赤にして呟くレニに、マリアは心臓を撃ち抜かれたような衝撃を覚える。
ここが人ごみの中でなければ…否、ここがどこだろうと人目も気にせずにもう少しで抱きしめてしまうところだった。
最後の理性のかけらで何とか衝動を押し止める。
さりげなく人気の無いところへとリードし、立ち止まってレニに向き合った。
「…でもレニ、聖天さまは芸能の神様よ?」
「…あ」
「それに、そんなことは神様にお願いすることじゃないでしょう?」
「……うん」
マリアに咎められ、俯いてしまうレニの頬に手を添えて自分と視線を合わさせた。
「…私にお願いしないと、ね?」
悪戯っぽく微笑んで見せれば、再びレニの頬が紅に染まる。
ややあって、頬を染めたままレニは自分の願いを叶えられる目の前のただひとりに、『お願い』をすることにした。
「…マリア」
「なあに?」
「今年も…ううん、これからも、ボクのことだけ愛して…」
「そのお願いは、これから先ずっと叶い続けるわ…」
微笑んで、マリアはレニに軽く口付けた。
おしまい。
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