日々のいろんなことをあれこれ。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
リハビリがてら小ネタ投下。
マリレニ・甘いかんじでひとつ。
「キスの温度」
ベッドの中、マリアとレニは二人分の体温とほんの少しの気だるさに包まれ、砂糖菓子よりも甘い時間を過ごしていた。
ふとレニが身じろぎし、片手を布団から出してマリアの手を掴んだ。
自分の手をマリアの手に重ね、互いの指が交互になるように握り締める。
「どうしたの、レニ?」
「…ん…」
レニはマリアの質問には答えずに、握った手を見つめていた。
そのまま黙りこくってしまったレニを見つめ、マリアは握られた手を優しく握り返す。
「…マリアの手って、冷たいよね」
しばらくして呟かれた言葉はなんの脈絡もないものだった。
「そうね、よく言われるわ」
「ボクも手が冷たいんだ」
レニの言葉の意図がいまいち掴めず、マリアはレニの言葉の続きを待った。
「マリアの手もボクの手も冷たいのに、こうやって繋ぐと温かくなるんだ。不思議だと思って…」
何も不思議なことはない、ふたりとも血が通っているのだから触れた部分が暖かくなるのは極普通のことだ。
それに、人間の体温のしくみなどはレニの方が詳しいはずだ。
だが、彼女が言っているのはそんな科学的なことではないような気がした。
それはきっと…。
「…好き」
「え?」
突然のマリアの告白に、レニの頬がぽっと染まる。
そんなレニの様子を見て笑みを零しながら、マリアは言葉を続けた。
「好き、だから…かしら?」
マリアの言葉を聞き、レニは口の中で好き、と小さく反芻する。
やがて少し恥ずかしそうに頷いた。
「……そっか」
「えぇ」
繋いだ手は徐々に温かくなり、互いの体温をじんわりと伝えていく。
無言のまま手を握りあい、ふたりは見つめ合った。
ふいに、マリアが空いている手でレニの唇に触れた。
突然唇に感じたマリアの指の体温にレニは目を瞬かせる。
「な、何?」
「レニの唇、冷たい…」
呟くマリアに、レニも空いている手でマリアの唇に触れる。
「マリアの唇だって冷たいよ」
「…それじゃあ、キスしたら唇が温かくなるのかしら?」
「…試してみる?」
「えぇ」
本当は結果なんてふたりとも分かりきっている。
もう何十回も、何百回も重ねたのだから。
それでも。
互いに目を閉じて口付けを交わす。
冷たいと感じたのはほんの一瞬で、その後唇は蕩けるような熱に包まれていった。
マリアの舌先がちろりとレニの唇を舐めた。
お互いの体温を移しあうように舌を絡ませあう。
触れるごとに舌先が熱を持ち、そこからひとつになっていくような――…。
徐々に深くなる口づけに、レニは慌てて体ごと唇を離した。
「どうだった?」
悪戯っぽく笑うマリアに、唇を押さえてレニが呟く。
「…熱くなった。…………体が」
語尾にぼそりと付け加えられた言葉にマリアは苦笑する。
「…じゃあ、責任を取らないといけないかしら?」
先程とは違う妖艶な笑みを浮かべ、上体を起こしたマリアはレニに覆いかぶさる。
彼女の細く長い指がレニの唇をなぞった。
「もう…」
それが目的だったんじゃないのか、という言葉は喉の奥に仕舞い込んで、レニはマリアの首にするりと腕を回した。
(続きません)
TrackbackURL