日々のいろんなことをあれこれ。
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本当にやりたかったことが全く間に合わなかったのであきらめた。(早)
ちなみに投稿時間がおかしいのは、管理人が間違って記事を非公開にしてたからです。
はい、バカです。
ていうか書いてて”サンタクロース”がゲシュタルト崩壊的なものを起こしそうになった。
読まれる方は続きからどうぞ
↓
クリスマスマリレニ小ネタ
『サンタクロースがやってくる』
――12月24日、深夜。
例年のクリスマス特別公演も拍手の洪水のうちに幕を下ろし、クリスマスパーティもお開きになった大帝国劇場。
花組のみんなはそれぞれの自室で既に夢の中だ。
数時間前まで舞台の中心に立っていた男装の麗人、マリア・タチバナも例外ではない。
彼女もまた、自室で覚めやらぬ高揚感に包まれていた。
しかし、彼女の表情は浮かばないものだった。
(…レニ、大丈夫かしら…)
マリアの頭に浮かぶのは、愛する銀の少女のこと。
『ごめん、今日の夜は早く寝るから…』
いつもなら、花組で行うクリスマスパーティの後にふたりでレニの誕生日祝いを行うのだ。
一応、今年もそのつもりで仕度をしていたのだが、公演の前にレニから言われたのが先ほどの言葉だった。
『疲れてるだろうから、マリアもちゃんと早く寝てね…おやすみ、良い夢を』
打ち上げがお開きになり、部屋に戻る前にはレニからお休みのキスまでしてくれたのだが、それでもマリアの心は晴れない。
最近は特別公演の稽古で連日遅くまで起きていたせいで気を遣ってくれたのだろうか。
だが、別にそれは今年に限ったことではない。
彼女の体調が優れないのかもしれない。
もしそうだったとしたら、自分がそばにいて看病してあげたい。
でも、今から部屋に行っても迷惑ではないだろうか。
本当に疲れていて、もう眠ってしまっているかもしれない。
もしかして、自分が何かしてしまったのだろうか。
そんな考えが先ほどからマリアの頭をぐるぐる回っていた。
(…行ってみましょう)
このまま考えていても埒が明かないと、マリアはレニの部屋に行く決意をした。
椅子から立ち上がった瞬間――…。
「わっ…」
本当に微々たる声だった。
窓の外…正確には屋根の上から微かな物音と共に聞きなれた声が聞こえたような。
でも、まさか。
暫く逡巡したマリアは、気のせいなら気のせいでいいからと、部屋の窓を開けて身体を乗り出してみた。
見上げた屋根の上にあったのは、白い袋を背負った赤い人影。
”サンタクロースがやってきた”アイリスならそう思ったかもしれない。
しかし、その人影は間違いなく…。
「…………レニ、何してるの?」
暫しの間呆然としていたマリアは、人影に向かってようやくそう声をかけた。
名前を呼ばれた本人はばつの悪い表情で、屋根に乗ったままだ。
「どうしてそんなところに…ほら、危ないから、つかまって。入ってらっしゃい」
屋根に向かって腕を伸ばすと、レニは大人しくマリアに抱きついた。
小柄な身体を横抱きにして、マリアは窓から部屋へとレニを移動させる。
腕の中のレニは、赤い帽子に赤い服…所謂サンタクロースの服装をしている。
彼女がこんな服を着ているなんて、にわかには信じがたいことだった。
ひとまず彼女を下ろし、ベッドに腰掛けさせる。
どうしてサンタクロースの格好をしているのか、屋根の上にいたのか、聞いていいものかマリアは戸惑う。
率直な感想は、かわいい。その一言に尽きるのだが、それよりも疑問の方が勝る。
先ほどからレニは黙ったままで、何も話そうとしないのだ。
「どうして」、マリアがその言葉を口に出すより一拍早く、レニがそう口にした。
「マリア、どうして寝てないの」
「…え?」
「ちゃんと早く寝て、って言ったのに…寝てないと、サンタクロースは行けないよ」
溜息混じりに呟かれるが、マリアはそんなレニの言葉についていけない。
「ちょっと待ってレニ、サンタクロースって…どういうこと?」
「だって、マリア言ってたよね?自分のところにはサンタクロースは来ない、って…」
レニの言葉に、マリアは必死に記憶の糸を手繰る。
どこかで、そんな話をしただろうか。思い起こされたのは、アイリスとの会話だった。
――1週間ほど前に、サロンでお茶をしていたときのことだ。
『アイリス、今年はサンタさんにクリスマスカードをつくったの!』
サンタクロースのそりの音が近付いてくる冬の日に、アイリスはマリアに誇らしげにカードを見せた。
赤と緑をメインにしたクリスマスカードは、アイリスお手製のものらしい。
『そうなの…サンタクロースもきっと喜ぶわ』
『うん!』
まだそりに乗ってやってくるサンタクロースを信じる純粋な少女に、マリアも笑顔を浮かべる。
『マリアは、サンタさんにお願いはしないの?』
『私?…そうねぇ…私のところには来ないだろうから』
『えーっ、マリアにはサンタさん来ないの!?』
『うーん…難しいでしょうね』
何の気なしに言った言葉だった。
今の今まで、自分でも忘れていたほどに。
「マリアのところには、サンタクロースは来ないって言ってたのをたまたま聞いたんだ。だから…」
「だから、今日は早く寝て、って言ったの?」
確認するように問うと、レニは首を縦に振った。
(…そうだったの)
自分のためにサンタクロースになりきろうとした恋人に、自然とマリアの顔に笑顔が零れる。
「ありがとう、レニ…私のために」
「ううん、でも、結局失敗だった…サンタクロースには、なれなかったから…」
絵本の中のサンタクロースのように赤い服を着て、マリアの部屋に忍び込んでプレゼントを置くつもりだったのだろう。
それが失敗したことによって、レニは酷く落胆していた。
そんなレニに、マリアはある話をすることにした。
「じゃあ、その後の話は聞いてなかったのね」
「その後?」
「そう。アイリスとの話には続きがあってね…」
優しいアルトが、囁くように静かに話し始める。
『マリアにはサンタさん来ないんだ…』
『サンタクロースはいい子たちのところにしか来ない、って、この前のお話にも書いてたでしょう?』
『そっかぁ…』
少し前に読んだ本の中に書かれていたことを思い出し、アイリスはしゅんと項垂れる。
サンタクロースを信じる子どものところにしか、サンタクロースはやってこない。
大人になったら、サンタクロースは来なくなってしまう。
『じゃあ、アイリスにもいつか、サンタさんは来なくなっちゃうのかな…』
そんなアイリスに、マリアは昔の自分を思い出していた。
もう子どもではなくなってしまった自分のもとへ、絵本に出てくるサンタクロースが来ることはない。
しかし…。
『でも、私には私のサンタクロースが来てくれるから…』
『えっ?どういうこと?』
先ほどサンタクロースは来ないと言っていたマリアの言葉との矛盾に、アイリスは驚きの声を上げた。
そんなアイリスに、マリアは今は細かくは説明しないことに決めていた。
秘密、というように、人差し指を唇にあてる。
『ふふ、さぁ、どういうことかしら?アイリスにもいつか分かるわ』
『えーっ、いつ分かるの?』
『そうね…アイリスが大人になって、サンタクロースが来なくなった頃に、きっと…』
冬の空の下で冷たくなってしまったレニの手を温めるように握り、マリアは微笑みかける。
「私にはもう子どもたちみんなを愛するサンタクロースは来ないけれど、私だけを愛してくれるサンタクロースがいてくれるから…」
子どもたちが愛するサンタクロースとは違う。
自分を愛してくれる人の存在。
それこそが、彼女にとっての、彼女だけのサンタクロースだった。
マリアの言葉に、レニの頬が朱を差したように赤くなる。
「ボクは…マリアの、サンタクロース、なの?」
「そう。私だけの、ね…」
それ以上は言葉にしない。
言葉にしなくても、握られた手から温かい心が伝わってくる。
薄暗い部屋の中で翠と蒼が互いに見つめあい、やがて目を閉じて唇を重ねた。
角度を変えて何度も繰り返される口づけは徐々に深くなっていき…。
小柄なサンタクロースの体が、ベッドに倒される。
「マリア、だめ…」
顔を赤く染め、口先だけで小さく抵抗するレニに、マリアは口元に艶やかな笑みを浮かべた。
「あら、私はかわいいサンタさんからプレゼントをもらえるんじゃないのかしら?」
「…眠ってないマリアはいい子じゃないから、プレゼントはあげられない」
「ふふ、残念。…でも、プレゼントならもう腕の中にいるもの」
「…もぅ」
マリアとの押し問答に観念したレニは、彼女の首に腕を回す。
そんなレニに、マリアはとびきり優しく口づけた。
”貴女が、私のサンタクロース”
END
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公式ついったの写真(?)のサンタレニがやばいやばいやばいやばいまじでちょうかわいい。
あーマジでレニサンタうちにこないかなー。
マリアサンタでも勿論いい。でもそしたらミニスカサンタ(スカートはタイトで。ここが一番重要)を希望したい。
そんなクリスマス。
というわけで急遽書いた小ネタでした。
レニ、誕生日おめでとう!
そしてメリークリスマス!